自担がいきなり推されたファンの心境
自担が推され出したのは突然だった。
忘れもしない、2012年の冬。『ジャニーズワールド』*1のパンフレットで、「え…自担と自担のシンメ（いわふか）の写真だけデカいぞ…（笑）」。 この頃はまだ、（笑）という感想しか出てこなかった。ジャニーズJr.のパンフレットの個人の写真の大きさなど、よほど顕著でない限りはただの編集側の気まぐれである。当時はTwitterもやっていたので*2、Twitterの岩本担の友達と「いわふかの時代きたｗｗｗｗｗ」とふざけあっていた。
わたしの担当である深澤辰哉は、Snow Man（Mis Snow Man）の中でもいたって目立たないメンバーだった。信じられないと思うが、いまのような「お笑いキャラ」でもなんでもなく、ただただ「いる」だけのメンバーだった。*3だいたい、立ち位置的にも右端か左端だったので、TVでも見切れることがしばしば。また、舞台『滝沢歌舞伎』で、まわりのSnow Manメンバーが前年の役よりも少し良い役を貰い始めた年もふっかだけ前と同じ、村を焼き払われる農民の役をやっていて、その時ばかりは落ち込んだ。公式で販売される写真もふっかだけ何故かメンバーより枚数が少ないこともあった。そんなこんなで彼が「端にいること」「扱いがすこし悪いこと」にわたしは慣れきっていた。
推されてからは、あれよあれよと個人仕事が決まっていく。*4いままで仕事あんなに無かったのはなんだったんだ？というくらいに。正直、「まあ、推されるのも今のうちだけだろ…」という気持ちがあった。
推される、といっても「これまでよりはまともにテレビや雑誌に出るようになった」という感覚だった。Mis Snow Manが解体してしばらく雑誌や少年倶楽部に1年に数回しか出ないという状況があり、そこからなんとか抜け出したという感じだった。それこそ今で言うキンプリのような形の推されではなく、ただなんとなく出るようになったという推され方だったので、「デビューに近づいたな」という感覚も無かった。
わたし自身がSnow Manというグループが好きということもあり、この時期のいわふか＋他のJr.数人での活動はあまり印象に残っていない。ただ、「推されているメンバー以外のメンバーを担当している人たちからの非難」が痛かった。一時期は「岩本と深澤はSnow Manを捨てた」とまで言われて、頭を抱えた。しかし、このような非難もひっくるめて「推される」ということなのだ。推されているのになにも言われてない人などいないのではないかと思う。自分を省みても、推されている人や、推されているグループに対して僻んだこともあれば、非難したこともある。それが思わぬ形で自分に返ってきていたのだと思う。
「推される」ということは一見、良いことのように感じていたし、以前自担が推されることの無かった時代は憧れていたが、実際は孤独だったように思う。自分の担当の仕事を素直に喜べない時もあり、そんな自分にも悲しくなった。端にいたにも関わらず、いきなり真ん中に祭り上げられた深澤くんについていくのに必死だった。そして深澤くんも必死だったように思う。推されているピークである2013年の滝沢演舞城にて、お誕生日を祝ってもらった際に深澤くんの言った「とにかく頑張ります。」という言葉はわたしの胸に突き刺さっている。とにかく、頑張るしかない。
最後に言いたいことは、歌やダンスが出来るから推される、顔がいいから推される、などという明確なポイントなどないということだ。あの事務所は、推される時にはいきなり推されるのだ。顔も力量も関係しない。
そして、推されている人だっていつまで推されるかは分からないということだ。ずっと推されている人もいるだろうが、いつのまにか別の人が推されているなんてザラにある。そして、推される予兆などない。推されは突然やって来るということだ。
推されている本人も推されているファンも、この推されている期間でなにが残せるか？という姿勢になるといいのではないかとおもう。深澤くんが言っていた通り、個人の活動がグループに還元されると思ってやるしかない。実際、いわふかの個人仕事は、Snow Manに少しは還元されたのではないかなと、わたしは思っている。*5
同世代のジャニーズJr.を応援するということ～高校生から社会人まで～
わたしは今の担当グループを、彼らが高校生の頃から応援している。そして、彼らはいま、いわゆる「社会人」と呼ばれる年齢になった。*1
同世代のジャニーズを応援することは、珍しいことではない。しかし、わたしが応援しているのはジャニーズ「Jr.」であるというところが重要だと思う。ジャニーズJr.が、デビューをしていない不安定な立ち位置であるという点で。そして、彼らがかつて「高校生」であったこと、今「社会人」と呼ばれる年齢であること。これに対して感じたことを、今書きとどめておきたい。
わたしが中高生の頃、周りにいるジャニヲタは「Hey!Say!JUMPの山田涼介くんが好き」といったように、デビューしているグループの中のだれかが好きというパターンが多かった。そんな中、わたしは高校１年生の時に、当時年上組*2が高校３年生、年下組*3が高校２年生の８人グループ、Mis Snow Manの担当になった。*4 正直、今でもこの頃が一番楽しかったと思える。いま自分が中高生で、自担も中高生というジャニヲタの人にはこの感覚が伝わり易いと思うが、とにかく楽しかった。わたしは当時、女子校に通っていたこともあり、男子高校生たちがキャッキャとはしゃぐ姿を見て「DK」という神聖な（笑）ジャンルに思いを馳せていた。本人たちもこの頃が一番のびのびと活動していたように感じる。（良い意味でも、悪い意味でも）
自担が高校生のときに、自分も高校生であるメリットは、なんといっても「一緒に高校生活を送っているかのような気分」を味わえるということだ。言葉にするとすごく馬鹿らしい響きだが、本当に素晴らしく楽しかった。雑誌などでも学校関係の話をしてくれることも多かったし、インタビューなどで「期末試験」「部活」「学校の友達」などといったワードが出てくることも多く、勝手に親近感が芽生えていった。けして自担グループをディスるわけではないが、自担グループがジャニーズ顔の典型的なイケメンではなく、「そのへんにいる高校生」顔だったことも関係していると思う。１歳違いであった阿部くん*5は、担当ではなかったものの大いに影響を受けた。舞台の際に、舞台袖に捌けてすぐ、阿部くんは舞台袖で参考書を広げ勉強していると雑誌に載っていたときは衝撃的であったとともに、わたしに勉強のやる気を与えてくれた。阿部くんの勉強している姿をおさめたオフショットを待ち受けにし、わたしは高校時代のテストと受験を乗り越えたのである。お馬鹿が大半のSnow Manの中に秀才の阿部くんがいてくれたことにわたしは感謝している。
そして彼らは大学生になる。この彼らが高校生～大学生の間にMis Snow Manが解体され、バラバラになったりと色々あったのだが、これについてはまた改めて書こうと思う。雑誌などの媒体でメンバーがそれぞれ「大学に合格したよ！」などと報告してくれるのはとてもうれしいことだった。彼らはあくまでも「ジャニーズJr.」という不安定な位置にいたこともあり、わたしは個人的に進学してくれたらいいなと思っていた。もしもジャニーズ事務所を退所することになったときに、大学に行っていれば、それなりに次の仕事の選択肢が増えるのではと考えていた。深澤くんが大学の授業でシンデレラの劇をやることになって、気が付いたら王子様役に選ばれていたというエピソードはいまでも大好きなエピソードベスト１０には入る。
確実なことではないが、深澤くんは大学を辞めてしまった*6のではないかという話である。（本当に不確実な話だが）わたしは初めてこの事実を知ったときにとてもショックを受けた。深澤くんはとてもうれしそうに大学に合格したこと、進学することを雑誌で話していたこともあり、すごくつらかった。しかし、２年遅れで大学に自分が入学して生活をしていくにつれ、Snow Manのように忙しく仕事をしている合間に大学にいくこと、単位を取ることはどれほど大変なことであるかを身をもって感じた。恥ずかしながら、最初は深澤くんが大学を辞めたかもしれないという事実を責めてしまっていたが、彼は彼なりに仕事に向きあうことを最優先にしてくれたのだと今は思っている。鬼のように仕事が忙しい中、大学を卒業し、大学のパンフレットにおおきく取り扱われているメンバーがいることはとても誇らしいことである。また、阿部くんもいま卒論に取り組んでいるとのことなので、来年自分が卒業論文に取り組む際の励みにさせていただきたい。
あっという間に時は過ぎ、「高校生」だった彼らが「大学生」になり、「社会人」と呼ばれる年齢になった。ものすごくあっという間だった。残念ながら、いまだ彼らは「ジャニーズJr.」であるし、不安定である。しかし、その不安定さの中でわたしが深澤くんの仕事に対する意識に変化があったと感じたのは2013年。深澤くんがちょうど21歳で、今のわたしと同年齢の頃である。この頃から深澤くん（また、Snow Manのメンバー）は、「重いなにか」を背負いながら仕事をするようになったと感じる。責任感、プレッシャー、焦りを高校生の頃とは比べ物にならないくらい彼らから感じるようになった。そして、確実に高校生の頃よりも成長した姿がある。わたしは、来年からはじまる就職活動や、その先の自分の「仕事」についていま悩み、不安に感じている。わたしと同年齢であった２年前のSnow Man*7もきっとこのような気持ちになったのであろうと勝手な推測だがわたしは思っている。そして、そこで覚悟を決めてくれたのだと。
「高校生」である彼らは、身軽であった。ジャニーズであることを手放しで楽しんでいて、そして自分勝手で気まぐれであった。そして、「高校生」であるわたしも、身軽であり、自分勝手に、気まぐれに彼らを応援していた。「社会人」になった彼らはいろいろなものを抱え、背負いながらジャニーズを続けてくれている。そして「社会人」になろうとしているわたしも、いろいろな思いを抱えながら彼らの応援をしている。
わたしは同世代の『アイドルの卵』であるジャニーズJr.、Snow Manを高校生の頃から応援していることを誇りに思っている。それは、長く応援しているからよく知っている*8というような観点で誇りに思っているのではない。高校生～社会人という、人生で一番変化のある時期を彼らとともに乗り越えてこられたからである。
